【鑑賞料金改定のお知らせ】(2023.12.5) |
フィルム・ノワール映画祭
映画史の闇から抜け出した知られざる傑作 ‼️
7月6日~12日
罠/乗馬練習場/賭博師ボブ
7月13日~19日
殺られる/墓場なき野郎ども/穴
7月20日~26日
太陽の下の10万ドル/さらば友よ/雨の訪問者
7月27日~8月2日
夜の訪問者/仁義/ビッグ・ガン
7月6日~12日
罠(1939/107分/モノクロ)
映画監督として上り調子になった途端ナチスの台頭でドイツにいられなくなり、フランス、さらにアメリカに亡命、ハリウッドでノワールの代表的作家になるシオドマク。本作は彼がフランスで撮ったノワール、その後、これもドイツからの亡命作家ダグラス・サークによって米で『誘拐魔』としてリメイクされる。若い女性が行方不明になる事件が多発、警察はある女性を使っておとり捜査を開始、彼女はその中で知り合った陽気な男と恋仲になる。しかしその男の机に犯罪の証拠が…。狂気のデザイナーは無声映画時代の巨匠シュトロハイム。
7月6日~12日
乗馬練習場(1950/91分/モノクロ)
愛する妻が事故で瀕死の重傷、枕辺で彼女との思い出に浸る夫に、妻の母が語る彼女の真の姿は驚くべきものだった。二つ目のフラッシュバックで全てがひっくり返る。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』に人物関係は似るが、それよりはるかに強烈。アレグレは『デデという娼婦』、『美しき小さな浜辺』、本作と同じ脚本家、シニョレ主演による「黒い三部作」で、人間の心の闇をえぐり出すフレンチ・ノワールの系列(代表がクルーゾー)の一翼を担った。
7月6日~12日
賭博師ボブ(1955/100分/モノクロ)
罪から足を洗ったボブ、若いものに優しく、女を食い物にする奴が嫌い、孤独が身に沁みついたような初老の男だが、今は賭博で身を立てている。カジノに収まる8億フランを狙って最後の仕事に臨むボブだが、待機中つい始めた賭博で何故かツキまくって…。夜のピガール地区のにぎわい、明け方の寒々しい盛り場をとらえたカメラ(アンリ・ドカエ)、ぶっきらぼうに進む語りがリアルで、ケイパーものフィルム・ノワールであると同時に、ヌーヴェル・ヴァーグ前夜を感じさせる。フレンチ・ノワール最大の作家メルヴィルの初期の傑作。
7月13日~19日
殺られる(1959/90分/モノクロ)
お針子たちが呼ばれたパーティは、ブルジョアの男たちの人身売買の場だった。恋人を追って、パーティが行われる山奥の屋敷に潜入した男は彼女を救えるのか。犯人一味ながら、主人公を助けようとして裸に剥かれて拷問され、ついには殺されるマガリ・ノエル、常に黒い手袋をして、手慰みにスライドゲームに興じる痩せ型の殺し屋フイリップ・クレイが印象的。音楽はアート・ブレーキー・アンド・ジャズ・メッセンジャーズ。
7月13日~19日
墓場なき野郎ども(1960/103分/モノクロ)
逃亡中の死刑囚がイタリアからフランスへ。妻子連れという不利もあり、行動が荒く、行く先々に死体が積みあがる。この間のあれよあれよというスピードから一転、パリでの逼塞は、厄介者となってしまった彼が抑圧された時間が続くギャップ。突き放したようなナレーション(ラストの一言に痺れる)、ヴァンチュラのハードボイルド、かくまうベルモンドの男気。『穴』に続くジョゼ・ジョヴァンニの原作、脚本、カメラも同じギスラン・クロケ。
7月13日~19日
穴(1960/132分/モノクロ)
ハワード・ホークスに私淑し、ジャン・ルノワールの助監督を務めたジャック・ベッケルは、彼ら二人と同様、ノワールに優れた技量を発揮した。『現金に手を出すな』はフレンチ・ノワールを代表する傑作。本作はベッケルの遺作で、ジョゼ・ジョヴァンニの小説の最初の映画化作品となる。サンテ刑務所からの脱走劇。タイトル通りコンクリートの床や壁に「穴」をあける作業の描写、その透徹したカメラ、物理音の処理、淡々とした編集には映画的アクションがみなぎっている。
7月20日~26日
太陽の下の10万ドル(1965/125分/モノクロ)
何か訳ありげな荷物を新品のトラックに積み、しかも新入りの運転手に運ばせる。いつもと違う業務に不審を持つ運転手たち。翌朝、そのトラックを勝手に運転して行った男を、社長が追わせる。明らかに荷物は金目のものだ。追う側もあわよくば自分が、と色めき立つ。舞台は北アフリカ、砂漠と山並みがシネスコ画面に広がり、壮大。いつ転落してもおかしくない崖でのトラック同士のチェイスがこの映画の見どころ。軽薄そうなベルモンドと、いつも苦虫を噛み潰したようなヴァンチュラの対照性に、不穏なドイツ人やファム・ファタルが絡む。
7月20日~26日
さらば友よ(1968/115分/カラー)
アルジェリア帰りの二人の兵士、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン。ドロンは自分が死なせた友のために、金庫破りをすることに。いっちょ噛みさせろとブロンソンが勝手に参加、凸凹コンビがクリスマスの深夜に、何万通りもある金庫の番号組み合わせをひたすら試しつくす。ようやく開いたと思ったら金庫はカラ、これはどういうことなのか。サスペンス、ノワールというよりはコメディ色の方が強い気がするが、警察に追われることになった二人が互いに相手を庇おうと知らぬふりをする男気が泣ける。知らぬ同士を装う二人の別れの挨拶に痺れる。
7月20日~26日
雨の訪問者(1970/119分/カラー)
雨が降り続く季節外れの避暑地、バスから降りた赤いバッグを持つ男、窓を通して男を眺める女。その女のもとに、夜その男がやってくる。乱暴された女は男を撃ち殺し、崖から捨てるが、翌朝、彼女のもとにある男がやってきて全てを知っているという。男は誰なのか、殺された男は誰だったのか。女の名はメランコリー、女の記憶の映像が突然差し挟まれたり、南仏の家庭からパリの娼館に場面が移り変わったり、物語は錯綜するが、クレマンの情感溢れる映像美、フランシス・レイの華麗な音楽によってメランコリックな雰囲気たっぷり。
7月27日~8月2日
夜の訪問者(1970/94分/カラー)
『雨の訪問者』と並び、チャールズ・ブロンソンが1970年にヨーロッパで撮った四本の一本。イギリス人のテレンス・ヤングが監督、アメリカ人のブロンソン、スウェーデンのベルイマン監督作で知られるリヴ・ウルマンが主演、シャブロル作品で知られるジャン・ラビエがカメラという国際的映画。観光客用漁船の船長が脅されて悪事に加担させられるホークス『脱出』に似た話だが、ブロンソンなので当然反撃、そのアクションが見もの。
7月27日~8月2日
仁義(1970/140分/カラー)
フレンチ・ノワール最大の映画作家ジャン=ピエール・メルヴィルの最後期の傑作。ヴォロンテとアラン・ドロンが偶然出会い、宝石強奪を計画、モンタンを仲間に入れる。元刑事でアル中だが、誇りを取り戻すため仕事を引き受けるというモンタンの造形が素晴らしい。二十分にわたる宝石店の場面は、たった一言の台詞もなく、男たちがやるべきことをただ淡々とやっていくその描写だけで、充実した映画的時空間となっている。
7月27日~8月2日
ビッグ・ガン(1973/112分/カラー)
マフィアの殺し屋が、息子の将来のために足を洗おうとするが、組織の安泰のため彼を殺そうとしたマフィアが誤って彼の妻子を爆殺、主人公は復讐にひた走る。物語の骨格はフリッツ・ラングの『復讐は俺に任せろ』だが、それを知っているほどラストに驚きは大きい。要所要所に見られる色彩感覚や、殺しのエゲつなさに製作地のイタリアらしさがにじみ出る。ノワールの名作『他人の家』や『ゴッドファーザー』の名優リチャード・コンテにも注目。
台北アフタースクール
探し物は1994に…。監督が亡き恩師をモデルに描いた青春回顧録。あなたもきっと、大人になって忘れていた、大切な“何かを思い出す-。監督は、台湾ドラマ「アウトサイダー〜闘魚〜」で大ブレイクした人気俳優ラン・ジェンロン。亡き恩師ミッキー・チェン監督との実話をもとに、懐かしい青春の日々を描いたヒューマンドラマが誕生した。
監督:ラン・ジェンロン
( 2023/118分/G/台湾/ライツキューブ)
ジャン・ファイユン
チウ・イータイ
ウー・ジエンハー
シャーリーズ・ラム
ホウ・イエンシー
無名
-無名 Hidden Blade-
《トニー・レオン VS ワン・イーボー》2大スター競演!!
信じるか、裏切るか。究極の心理戦。二次世界大戦下の上海を舞台に、中国共産党、国民党、日本軍の間で繰り広げられる名もなきスパイたちによる一進一退の攻防戦を描くスパイ・ノワール。スパイ同士がしのぎを削る心理戦の応酬。信頼と裏切りの果てに待つものとは……。激動の時代を背景に描く、麗しくも哀しき宿命のドラマがいま、始まる。
監督:チェン・アル
( 2023/131分/G/中/アンプラグド)
トニー・レオン
ワン・イーボー
ホアン・レイ
森博之
ジョン・レノン 失われた週末
-The Lost Weekend: A Love Story-
ビートルズのジョン・レノンと妻オノ・ヨーコが別居していた“失われた週末”と呼ばれるプライベートな日々の真相を追ったドキュメンタリー。ジョンはヨーコの強い希望により、夫妻の個人秘書でプロダクションアシスタントを務めていたメイ・パンとともに過ごす日々を送った。ジョンはこの間、最初の妻シンシア・レノンとの長男ジュリアン・レノンと再会や、名盤を創作するなど、ビートルズの解散以降のソロキャリアのなかで最も多作で、商業的にも成功した時期を過ごした。ジョンの名曲の数々や貴重なアーカイブ映像、写真とともに、繰り広げられるファン垂涎の一本!
監督:
イブ・ブランドスタイン
リチャード・カウフマン
スチュアート・サミュエルズ
( 2022/94分/G/米/ミモザフィルムズ)
メイ・パン/ジョン・レノン
ジュリアン・レノン/ポール・マッカートニー
デビッド・ボウイ/エルトン・ジョン
殺人鬼の存在証明
-Kazn-
1991年、負傷した女性が森の近くで保護される。女性の証言から、10年以上殺人を続けていた連続殺人犯の手口に酷似していることが明らかになり、既に1988年に捕まっていた犯人は誤認逮捕だったことが判明する。新たな容疑者であるアンドレイ・ワリタを追い詰めた捜査責任者のイッサは、尋問をする中でワリタがそれまでの連続殺人を犯した真犯人だと確信していくが、彼の口から驚愕の真実を聞かされることになる…
監督:ラド・クヴァタニア
( 2021/138分/G/露/クロックワークス)
ニコロズ・タヴァゼ
ダニール・スピヴァコフスキ
ユリヤ・スニギル
エフゲニー・トゥカチュク
人間の境界
-Zielona Granica-
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった…。ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する<人間兵器>とよばれる策略に翻弄された人々の過酷な運命を、複数の視点から描き出す群像劇。
監督:アグニエシュカ・ホランド
( 2023/152分/G/波・仏・チェコ・白/トランスフォーマー)
ジャラル・アルタウィル
マヤ・オスタシェフスカ
ベヒ・ジャナティ・アタイ
アガタ・クレシャ
シークレット・ディフェンス
-Secret defense-
父を殺された姉弟の復讐劇が思わぬ事態へと展開していく様子を描いたサスペンス映画。研究所に勤めるシルヴィのもとに弟ポールが訪ねてくる。ポールによると、事故死したとされていた姉弟の父は、実は右腕だった男ヴァルサーに殺されたのだという。復讐を急ごうとするポールに代わり、独自の調査に乗り出すシルヴィだったが……。
監督:ジャック・リヴェット
(1998/173分/G/仏/コピアポア・フィルム)
サンドリーヌ・ボネール
イエジー・ラジビオビッチ
ロール・マルサック
ザ・タワー
-La tour-
アシタンはある朝目覚めると窓の外が、物を投げ入れると物体は消滅し、体が触れるとその部分が鋭利な刃物で切られたように消えてなくなってしまう“闇”で覆われていることに気が付く。原因不明の“闇”のせいで、建物の中に足止めされる団地の住民たち。外の世界と遮断され閉じ込められたままの彼らは、知り合いや人種ごとの小さなグループを形成していく。徐々に正気を失っていく彼らの間に争いごとが起こり始める中、彼らが選んだ“生きるため”の方法とは!?極限の状況に置かれた人間の光と影を大胆な発想で描くSFシチュエーション・スリラー!
監督:ギョーム・ニクルー
(2022/89分/PG12/仏/クロックワークス)
アンジェル・マック
ハティック
アーメド・アブデル・ラウィ
インフィニティ・プール
-Infinity Pool-
裕福な若い夫婦が訪れた美しいリゾート地“リ・トルカ島”。その国では、観光客はどんな犯罪を起こしても大金を払えば自分のクローンを作ることができ、そのクローンを身代わりとして死刑に処すことで罪を免れることができるという身の毛もよだつ残酷なルールが存在していた…。独特の世界観に溢れた秀作を送り出し、カルト的な人気を誇る鬼才ブランドン・クローネンバーグ監督の長編第3作。
監督:ブランドン・クローネンバーグ
(2023/118分/R18+/加・クロアチア・洪/トランスフォーマー)
アレクサンダー・スカルスガルド
ミア・ゴス
クレオパトラ・コールマン
雉岳山(チアクサン)
-Mount Chiak-
「雉岳山18分割連続殺人事件」と呼ばれる都市伝説に着想を得て製作されたホラー!1980年、登山客とみられる男性の遺体が発見されて以降、毎週バラバラに切断された遺体が発見されたという韓国・雉岳山。当時はバラバラ殺人自体が珍しく、遺体も凄惨な状態であったこともあり、捜査は秘密裏に行われ、その情報はマスコミにも一切公開されていないという。いまは都市伝説として語られているが、そのことをまったく知らないマウンテンバイクサークルのメンバー5人が、雉岳山を訪れる。そんな彼らに数々の不可解な現象が襲いかかり…。
監督:キム・ソヌン
(2023/85分/G/韓/ライツキューブ)
ユン・ギュンサン
キム・イェウォン
イ・テファン